ゆるり、のんびり

暮らすように歩き、歩くように暮らす日々の記録

TA DAY38: ウルトラライト入門

朝6時。橋の下で目覚める。

斜めでぼこぼこしているところにテントを張ったので体が若干痛い。

朝ご飯にたくさんOATYを食べ、出発。

 

今日は15㎞先のMacer Motelを目指す。

15kmだけなんてほぼ0day!イエイ!

なんて言えるようになった。

 

少しロード歩きをして土手に出た。

毎日寝る前にトレイルノートを読むのが日課になっている。

次の日のルートの情報を確認するために読んでいるのだが、

昨夜読んでいると何度も「stopbank」という単語が出てきた。

「ストップバンクってなんぞや?銀行に関係あることか?」

辞書はないし電波もないので調べられない。

そして、今日ここへ来て、stopbankって土手のことかー!と謎が解けた。

わたしは単語を暗記するのが大の苦手。

でも、こんな風に経験と一緒に出会った単語はすっと自分の頭に入ってくれる。

 

土手の両脇にはかわいいお花が咲いていて、

天気も良くて気持ちのいい土手歩き。

しばらく歩いていると後ろからTAハイカーのFくんがやってきた。

 

わたしは驚いた。

なんとFくんの背負っているザックはランドセルぐらいの大きさなのである。

Fくんの歩く姿はとっても軽やか。

ちょっと町に買い物に来たよ!ぐらいのノリじゃないか。

ウルトラライトという文化に初めて出会った瞬間だった。

 

Fくんが「日本人のTAハイカーがもうすぐ来ると思うよ」と教えてくれた。

わ~!日本の人がいるの!!会いたいなぁ!!

旅が始まり1か月以上経つけど、日本人ハイカーの噂を聞くのはこれが初めて。

 

しばらく土手歩きが続き、道路に出る。

このあたりはハイウェイ、日本でいう高速道路が走っているので、

交通量も多く、車のスピードも速いので歩いていて結構怖い。

ハイウェイから少し茂みに入るのがTAのルートになっていた。

再び道路に出たらそれは同じ道路で、

迂回して歩いた割に全然進まず、歩いた道も草ボーボーで歩きにくい。

少しでも自然の中を歩かせてくれようとした結果なのか?

無理やりトレイルだね~と笑った。

 

本日の目的地、Macer Motelに到着した。

Motelの芝の広場にテントを張らせてもらう。

Fくんも先に到着してテントを張って休憩していた。

 

近くにサービスエリアのようなところがあり、

ベーコンエッグバーガー&チップス(2人で$20)とオレンジジュースを注文。元気満タン!!

お店の中でバーガーを食べていると、急にサイレンが鳴った。

スタッフやお客さんがばたばたし始める。何だろう?

避難訓練だから、あなたたちも外に出て!」

お客も一緒に避難訓練するなんて驚いた。本格的だ。

本当に訓練するならこのスタイルがいいんだろうなと思った。

 

店の外に出されてしまったので、Motelに戻る。

すると、日本人TAハイカーのAさんが洗濯物を干していた。

「わー!カモちゃんとシカくん?初めまして~!」

めっちゃ気さくに声をかけてくれた。笑顔がまぶしい!

初めて会う日本人ハイカーさん!嬉しい!!

 

聞けば彼女は絵を描きながらTAを歩いているという。

その絵がなんとも美しい。素敵すぎる!!

一気にAさんのファンになった。

お互い色々なことを話す。

日本語で話すのめっちゃ久々~楽しい~。

 

そこへFくんがやってきた。

荷物の話になる。

よく見ると、Aさんの荷物もすごく軽そう!!

山と道でオーダーしたザックなのだそう。

そしてFくんによるウルトラライト講座が始まる。

 

F先生によると、まず食器や鍋の数が多いのでは?という指摘。

お米を炊くからこれは必要だ!と言い張るAさん。

次にFくんの荷物を披露してくれた。

マットを短く切って頭と胴体部分で分けて使えるようになっている。

服は最小限。歯ブラシの柄まで短く切ってある。

ランドセル(ザック)の中身のほとんどは食料だった。

 

みんなのテントを見て回った。

なんとわたしたちのテントが一番せまかった!2人用なのに!

F先生が今使っているテントでは南島のサンドフライ対策ができないので、

バウンスボックスに南島用のテントを入れているという。

(サンドフライとはニュージーランドにいる小さい虫で、かまれるとすごくかゆい。蚊よりもかゆい。)

今のテントより少し重くなるけど、虫が入りにくく、

より暖かいので、今よりも寒くなることが予想される南島のキャンプにはちょうどいいそうだ。

 

す、すごいぞ、ウルトラライト。

1g単位で必要最小限の装備になるようすごく計算されている。

 

 

すごいすごい、と言っていると、F先生が言った。

「初めから物を減らして旅をするのは危険だよ。

僕も何度も旅して、色々経験して、

そのたびに引き算をして今のスタイルになった。」

 

確かにそうだ。

わたしたち(特にわたし)はこんな長期の旅は初めてなので、

自分が生きるために必要なものの量がまだわかっていない。

バウンスボックスという方法もあるけど、

今持っているものは持って歩く。

(浮いたお金でインドカレーも食べたいし。)

それがわたしたちのスタイルだからこのまま続けよう。

 

ウルトラライト講座が終わり、新たな世界観との出会いに感動すら覚えた。

荷物を減らせなくても、何か軽くしたい!と思い、

色々と考えた結果、腰ベルトの余っている部分を切ることにした。

この先これ以上太ることはないだろうと思える長さに調節して、

不要な部分を切り落とし、切った先をライターであぶった。

これで20gぐらいは軽くなったと思う。

 

既製品であるザックにはさみを入れることなんて

全く考えたことがなかったけど、

出来上がっているものを自分なりにアレンジするのもいいなと思った。

試行錯誤することがおもしろい。

 

FくんとAさんはMotelのバーでピザなどを食べに行った。

我らの夕飯はいつも通り。食べ終わってピクニックテーブルでこの日記を書いている。

このまま書き続けたいけど、目の前に座っているおじさんが結構おしゃべりで、何を言っているかよくわからないので、今日はこのくらいにしておこう。

 

DAY38  橋の下 - Macer Motel 15㎞ (719km/3000km) 

 

 

バウンスボックスについて書いている日記↓

kamoshikahiking.hatenablog.com