まぶしい朝日で目が覚める。
遠くで波の音が聞こえて心地よい。
他のみんなはまだ寝ているようだ。
ピクニックテーブルで朝ご飯を食べる。
みんなも起きてきて出発の準備をしているとB&Bのオーナー夫妻がモーニングティーに誘ってくれた。(モーニングティー、アフタヌーンティー、素敵な文化だ。)
家の中に行くと、オーナーのお父さんがテレビを見ていた。
私以外のみんなは「昨日はすごい音だったね。」「眠れなかった。」
と話をしている。私は訳が分からずなんのこと?とShikaに尋ねた。
「昨日の夜、津波のアラートが鳴ってたんだよ。」
全く、全然聞こえなかった。
その影響でこの辺りにも津波警報が出たらしい。
テレビではずっと地震のニュースが流れていた。
オーナーのお母さんが「できたわよー」と言ってキッチンに案内してくれた。
お茶だけでなく、またまたスコーンやミニパンケーキまで。
ここのお家は木を基調としたカウンターキッチンで窓が大きく明るくて、思い出してもうっとりするほど素敵だ。
こんなキッチンでスコーンやパンケーキを焼いてみたい。
みんなでゆっくりお茶を飲みながら、しゃべったり、今後の計画を立てたり。
私たちは次の町で買う食糧計画を考えていた。
すると、隣に座ったフランス人のAくんが私たちのメモ帳を見て言った。
「な、なんだこれは!!美しい。この美しい日本語はどういう意味なの?」
Aくんが指をさした先には「チョコチップクッキー」と書いてあった。
今日のトレイルヘッドまでお父さんの船に乗せてもらい、
マングローブの森の中を抜け、対岸まで送ってくれた。
みんなでお礼を告げ、出発。
ゆっくり充実した朝は歩き始めも気持ちがいい。
牧場や道路を歩く。
しばらくするとまたきれいな海に出た。
それにしてもニュージーランドの海岸はどうしてこんなに美しいのか。
護岸工事をしていない、テトラポットもない、ありのまま、それだけのことなんだけど。
この日は歩いていると髪の毛がぶぉぉぉぉぉとすごいことになったり、声が聞こえにくいレベルの風の強さだった。
するとJくんがザックを下ろし何かを取り出した。
なんと、凧!!!
凧あげをしながら歩きだしたのだ。
すごい!!必要最低限の荷物でも私はひーひー言っているのに、凧まで入れて歩いているなんて!!
海岸歩きは単調で、風が強いと結構大変だなぁ~という気持ちが勝ってしまうけど、凧あげをしたり、見たりしているうちにあっという間に終わってしまう。
これは、楽しい・・・!!
すると今度はニュージーランド人のLくんが岩場に近づいて何かを探し始めた。
「みんなー!あったよー!」
そこにはたくさんのきれいな貝が!!
Mussel(マッセル)という貝で食べられるらしい。
夕食で食べるためにみんなで少し採った。
これも・・・楽しい!!
みんなが旅を楽しんでいる姿を見て自分の肩の力が少し抜けた気がした。
今までは「歩くぞ!」と気負っていた部分もあったかもしれないけど、そうだ、せっかくだから楽しまなくては。
海岸歩きから少し標高が上がる。
日差しがきつく、汗もダラダラ。
そこから少し森を歩く。ジャングル感があって楽しい。
また少し登ると稜線に出た。少し霧が出てきて風がものすごく強い。
ごつごつの岩場を登るといい眺め!
風が強すぎてみんなの声が聞こえない。でもみんな楽しそう。
また少し森の中を歩き、この日泊まるハットを目指す。
何十?何百?段もの階段下り。一日の終わり、疲労もあり膝が笑う。
薄暗くなってきた頃、ようやくハットに着いた。
ハットのなかはハイカーたちでいっぱいだったので、テントを張る。
ご飯はみんなでハットの周りで食べた。
初めましてのハイカーもいてにぎやかな夜(と言ってもまだ日は沈んでいない)。
マッセルも食べてお腹いっぱいになり、テントに戻る。
うとうとし始めた時、いつも昼間に聞いている鳥の声がしていたが、段々暗くなり、森は夜になった。
すると、今まで聞いていたかわいい鳥たちのさえずりがピタッと止み、「ぐぉぉぉぉ、きぇぇぇぇ」というような不気味な声が響く森になった。
こわい、こわい、もう寝よう。
DAY20 Tide Song - Peach Cove Hut 18km (386km/3000km)
*********************
KAMOSHIKA HIKING カモシカハイキング
Te Araroa テ・アラロア
■Instagram - イラスト中心に更新しています。
■You Tube - このセクションの動画はこちら↓
■LINE STAMP - カモシカハイキングのLINEスタンプです★
*********************