ゆるり、のんびり

暮らすように歩き、歩くように暮らす日々の記録

北へ

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しばらくオークランド生活を満喫した。

居心地もよくなってきた。住めば都である。

しかし、私たちは歩きに来たのだ。いつまでもこの生活を続けるわけにはいかない。

 

SHIKAの体調も良くなってきたのでいよいよ北へ向かう準備を始める。

 

私たちが歩くニュージーランドロングトレイル テ・アラロア(Te Araroa 略してTA)は、ニュージーランドの最北端Cape Reinga(ケープレインガ、レインガ岬)から始まる。そして最南端のブラフ(BLUFF)を目指して歩くというルート。日本でいうと北海道の最北端から九州の最南端まで歩くイメージ。南から北に向けて歩く人もいるが、北から南に向かって歩く人の割合の方が多いようだ。季節的なこともあり、私たちも北から南下する計画にした。

 

Cape Reingaには宿などはなく、公共交通機関もない。そのため、まずはKaitaia(カイタイア)という町を目指す。

 

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スタート地点までの行き方はTAの公式ウェブサイトに掲載されていて、いくつか行き方が載っている。

Kaitaiaまでのバスを予約した。ヒッチハイクで行く人もいるみたいだが、バスにした。

2人で$150ぐらいであった。KaitaiaからCape Reingaまでの行き方はあまり調べていなかったので、まずはKaitaiaへ行ってみてから調べることにした。

 

TAの公式サイトでトレイルの地図とトレイルノートと呼ばれるトレイル上の情報が書いてあるファイルをダウンロードできる。たいていの情報はトレイルノートを読めばわかるようになっている。宿や食材を買える店、水の調達場所、トレイルの状況など詳細に書いてくれているのでありがたい。

 

Kaitaiaの宿はトレイルノートで紹介されていた宿を予約した。いよいよ未知の3000kmへの旅が始まると思うと緊張した。

 

翌日の出発なので、この日はオークランドで贅沢に過ごした。おしゃれなカフェでランチを食べた。まだ何もしていないが、たまにはいい。クレープを頼むとお花がたくさんのっているかわいい見た目のパンケーキが運ばれてきた。味も甘すぎずとてもおいしい!たまにはこういうのもいい(2回目)。

 

Kaitaiaのスーパーがどのくらいの大きさか分からないので、ある程度必要な食材を買う。トレイル上では何を食べるか。野菜を持っていきたいなーなんて考えていた。SHIKAに意見を求めたが、野菜はトレイル中は難しいのではないかということであった。残念。。。

私は長期間の山行をしたことがなく、TAを歩いた人のブログの中にもチョコバーやナッツバーを食べる場面がたくさん出てきていたので、食事としてはそんなもんなのだろうと思っていた。また経験者のSHIKAの意見を聞いた方がいいと思ったので、残念に思いながらも、ジャパニーズショップでインスタントの味噌汁を購入したからそれだけで頑張れそうな気がした。

 

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翌朝、暗いうちに出発し、バスに乗り込む。バスは満員だった。運転手さんは気さくなおじさんだった。

バスに乗るとすぐに寝てしまった。目が覚めるとそこはサービスエリア。

しかし、日本のサービスエリアとは全く違うものだった。

おしゃれなカフェが1軒だけあって、外には公園の遊具のようなものがあって、それだけだ。でもそれだけで充分だ。なんと居心地がいいのだろう。

 

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バスが出発した。途中ジャングルのようなところや牧場を通ると、「ああ、もうすぐこんなところを歩くのかな。」と想像するだけでわくわくした。

 

途中のPaihiaはとてもきれいなリゾート地であった。その後もいろいろな町に止まり、Kerikeriの素敵な公園で昨晩のうちに作っておいたサンドイッチを食べる。

 

Kerikeriからは大型バスではなく、小さなバスに乗り換える。

バスには荷物を入れるためのトレーラーがついていた。

小柄なおばあさんが運転手だった。スピードはものすごかった。

 

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そのバスの中でもほとんど寝ていた。ところどころ目を覚ますと、車窓から牛や羊が見える。なんて土地の広い国なんだろう、と思ったが実際は日本の方が大きい。

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SHIKAは牛になりたくなったそうだ。しかも乳牛がいいらしい。

日本の乳牛たちを見て牛になりたいと思うことはあるのだろうか。

ニュージーランドの牛たちは広い牧場で仲間たちとおいしそうに食事をしていた。

 

 

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旅の準備

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朝目覚めると約束の時間をすぎていた。

「やばい、寝坊した!」

ベッドから飛び起き、バックパッカーのフロントに向かう。

昨晩の雰囲気とは一転。朝の雰囲気はさわやかで、これからの行き先の計画を立てている若者やコーヒーを飲みながら本を読んでいる人、掃除を始めようとしているスタッフがそれぞれ自分の時間を過ごしていた。昨夜は絶対にもう泊まりたくないと思っていたが、案外悪くない。

チェックアウトを済ませ、外に出る。明るい朝の陽ざしと少し冷たくからっとした空気にとても癒された。そして初めてニュージーランドの街の姿を見ることができた。

「ついにニュージーランドに来たんだ。」また少し実感がわいた。

 

旅の前に準備しなければいけないものがあったのと、体調がまだ優れないためしばらくオークランドで滞在することにした。

オークランドにはたくさんのバックパッカーがあったが、旅行シーズンなのかどの宿もほぼ満室で、連泊の予約を取ることが難しかった。滞在中は毎日その日宿を探すところから始まり、3軒ぐらいのバックパッカーを毎日転々としていた。

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旅の準備のため、スカイタワーのiサイトという観光案内所へ。完全に日本語で案内してくれて驚いた。ここではDOCのハットパスを購入するつもりで来たが、どうやらハットパスは海側のiサイトになるらしい。海の方へ行き、当時$92でハットパスを購入した。ハットパスとは山小屋の年間パスのようなもので、人気ルートでは別で支払いが必要な場合もあるが、TA上の山小屋ではほとんどこのハットパスを使って泊まることができる。北島では1回しか使う場面がなかったが、南島ではほとんどハット泊になるのでとても重宝した。

今回私たちは利用しなかったが、iサイトでビーコンを借りることもできる。私も一人で旅をすることになっていたら使っていたと思う。

 

ハットパスを購入し、海沿いのカフェで初めての朝食。パンとジャムとコーヒーのセット。エスプレッソは苦いと学んだ。

 

次はアウトドアショップへ。道具は日本からほとんど持ってきていたが、いくつかニュージーランドでそろえる必要があった。

まずはコンパス。日本とは磁石の方位が逆だと私はこの時初めて知った。今でもその原理を考えようとすると混乱するので、考えないようにして事実を受け入れている。

調理にはガスを使用するので、ガスボンベとそれにつける五徳を購入。接客してくれたお姉さんがとてもキュートでいい人だった。

 

スマートフォンSIMフリーのものを持っていた。SIMの購入を検討したが、まずは買わないで過ごしてみようということになり、購入しなかった。ニュージーランドwi-fi環境がとても整備されているので、オークランドに来てからも宿やスーパーでwi-fiを使用することができたので困ることはなかった。


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準備は1日で終わってしまったので、翌日からはのんびりオークランドでの生活を満喫した。スーパーで食材を買って自炊をして過ごした。パンに塗るためのピーナツバターを買ったらまさかのシュガーレス。食べた瞬間なんだこれー!と驚いた。日本で食べていた甘いピーナツバターを想像していたので、口が甘くないピーナツバターを受け付けなかった。

ニュージーランドでは甘くないのがスタンダードらしい。

 

オークランドの街中を散歩しているとアートギャラリーがあったので寄ってみる。まさかの入場無料。広くてとても見ごたえがあった。1階では子供たち向けのアートイベントが行われていてみんな楽しそうに作品を作っていた。なんか、いいな、と思った。

 

ギャラリーの裏にある公園へ向かった。とても美しい芝生の公園。日本だったら入園料が必要なぐらい整っている公園が無料なのだ。まずはそのことに驚いた。

公園の中心には満開になった大きな桜の木があった。みんなそこで寝そべってしゃべったり、本を読んだりしている。私たちも桜の木の下でゴロゴロしながらリンゴをかじったり、昼寝をした。最高だ。

 

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それにしても、こうして桜を見ながら公園でゆったりと過ごしていると本当に日本と変わらないのだ。

私が憧れていた“海外”というものはそんなに遠いところではなかったのかもしれない。

でもやっぱり日本とはどこか違う。そんなところで小さな生活をしているのがとても楽しかった。ただ生きることだけで毎日が充実していた。

 

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この生活に満足していて、このままでもいいかなと思うこともあった。

本当に旅が始まるのだろうか。

 

 

最初の晩餐

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到着は夜だったので、1日目の宿の予約はしておいた。

シティセンターへ向かうバスの運転手さんに宿の名前を見せると降りる駅で教えてくれるという。

ハグリット風の運転手のおじさんの優しさに触れて、ニュージーランドに来た実感がわいてきた~!と思った。

しかし、ニュージーランドロードオブザリングである。

 

バックパッカーに到着し、チェックインを済まし、夕食を食べに出掛けた。

 

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宿を出てすぐ向かい側にハンバーガーショップがあったので、そこに入ることにした。

 

ハンバーガーショップはメニューも店の作りも日本と似ている(日本が似せているのだと思うけど)ので、異国に来てドキドキしていたのが少し和らいだ。

 

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とてもお腹がすいていたので、BIG SETのようなものを選んだ。写真を見ると大きなバンズに分厚いパテと野菜が挟まっていてボリューミーなハンバーバーガー。

ポテトもLサイズ、ドリンクもトールサイズで$10(当時は$1=80円ぐらいであった)、さすが外国サイズだな~と思った。

 

早速BIG SETを注文。待っている間は窓の外を眺めていた。夜なので街の様子がよくわからなかったが、ニュージーランドで一番人口の多い街のメイン通りなのに店の街灯の明かりが少なく、8時か9時ごろだったと思うが閉店している店の方が多くて驚いた。

 

店員さんに呼ばれバーガーセットを取りに行く。

初めてのニュージーランドの晩餐だ!

 

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ハンバーガーの包みを開けると、あれ?小さい。

大きなバンズと分厚いパテ、シャキシャキ野菜はどこへ行ったのだろうか。

当時は正直「これで800円!高いな。。。」と思ってしまった。

でも逆に日本が安すぎるのだろうか・・・?

 

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そんな色々なことを考えながらBIG SETを食べた。

味はいつもの食べなれている味だった。

でもなぜだかお腹いっぱいにはならなかった。

 

少しの空腹感と共に宿に戻った。

宿の1階にクラブのようなものがあるのか、にぎやかである。

空きがなかったのでSHIKAとは別のドミトリーの部屋だった。

明日8時にロビー集合と約束をしてそれぞれの部屋へ戻った。

部屋のドアを開けると真っ暗で、ライトで足元を照らしながら、他の人を起こさないようにそろりそろりと自分のベッドに戻った。

なんとなくシャワーを浴びる気にもならず、そのまま眠ることにした。

1階からの重低音のミュージックと人々の歓声は深夜まで続き、この日はあまり眠れなかった。

ニュージーランドに到着!

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北京空港から再び飛行機に乗り、ニュージーランドオークランド空港に到着する頃にはシカの熱も無事に下がっていた。

やっと今日まで目標にしてきたニュージーランドの地を踏むことができた。

出発してから色々あったが、無事に到着してほっとした。

 

今回の旅は初めは5か月を予定していたので、ワーキングホリデービザを取得していた。

入国審査でなんと答えるべきか、事前にワーキングホリデーをしている人のブログを読んだり、Te Araroaを歩いていた人の情報を参考にしたり、シュミレーションはしていた。

しかし北京空港の一件があって、外国語を話すことにナーバスになっていた。

もう人前で英語を話したくないな、ましてや入国審査で英語が通じなくて入国できなかったらどうしよう・・・。

得意の先の先まで心配する性格のせいで悪い妄想ばかりが膨らむ。

ずらーっと並んでいる入国審査官と入国者とのやり取りを遠くから眺めながら、

「できるだけ優しそうな人に当たりますように。」と願っていた。

よく考えるとなんて失礼な願いだろう。

人の見かけであの人は優しそう、あの人は怖そうと判断するなど。

 

よく映画やドラマの中のセリフで、舞台に立つ直前の緊張している主人公に

「みんなジャガイモだと思えばいい。」と語りかけている場面がある。

なぜジャガイモ?と思っていたが、確かに玉ねぎやニンジンよりもジャガイモの方がリラックスできるかもしれない。

 

いよいよ、私の番だ。。。

ここだけは一人で話さなければいけない。

緊張が走る。

「ハ、ハロー」

ニュージーランドの人との初めてのコミュニケーションだった。

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心配していたようなシチュエーションにはならず、無事に入国審査をクリアした!

わたしたちの"ワーキングホリデー"ならぬ"ウォーキングホリデー"の始まりにまた一歩近づいた。

 

次は荷物検査。

ずらーっと人が並びとても混んでいる。

蛇のように蛇行しながらどんどん列が長くなる。

やっと自分たちの番になった。

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ニュージーランドは国の生態系を守るため、屋外で使用するアウトドアギアなどの検査が厳しいことは事前に知っていた。

土や植物の種がつかないように、靴もテントもきれいにしておいた。

ブーツは土がついていないのを見てOK、テントは預けるように言われた。

 

 

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他にもフルーツの所持や食品のチェックがあった。

見たことのない日本のお菓子は何が原料で作られているか説明した。

もちろん会話はすべてSHIKA任せである。

 

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もうないかな?と思ったところで「手に持っているものは何?」と言われた。

 

 

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今回ニュージーランドを歩く旅をすることになり、SHIKAのお世話になっている木工職人さんが私たちのために木製のトレッキングポールを作ってくれていた。

オーク材で作られていて持ちても滑らかでとても美しい。

 

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竹刀袋に入れて持っていた。

用途を説明すると一応杖も預けることになった。

 

 

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空港ロビーに出てテントと杖が返ってくるのを待つ。

は~ここがニュージーランドか~と空港内をきょろきょろ見回しながら、

ちゃんと無事に道具たちが戻ってくるかドキドキしていた。

 

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ガラガラと検査していた部屋のシャッターが開き、テントと杖が戻ってきた。

あーほっとした。いきなりテントなし生活になったらどうしようと思っていた心配性の想像も無意味なものに終わってよかった。

 

これでやっとニュージーランドでの旅が始まる!!

日本からニュージーランドに来るだけでもこんなにたくさんのドキドキがあったのだから、3000kmの道のりにはどんなことが待ち構えているのだろうか。

 

バスに乗りオークランド市内へ向かった。

 

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オークランドのスカイタワー。到着したのは夜だったけど。



 

冷やすものを探す旅

前回からの続き↓ 

kamoshikahiking.hatenablog.com

 

 

SHIKAのおでこを触ってみると熱も上がっているようだ。

初めての長期海外滞在の1日目から自分がしっかりしなければいけない状況に少し緊張していた。

どうしよう。なんとかしなくては。

ひとまず何か冷やせるものを探しに行くことにした。

 

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しかし、深夜になってしまったのでお土産屋さんやコンビニのようなお店は閉店している。

歩けども歩けども店らしいものもなく、両替をしていないので現金がなく自動販売機も使えない。

 

さてどうするか。さまよっているとハンバーガー屋さんを見つけた。


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よかった、24時間オープンしているようだ。

 

ジュースを注文してその氷を使おうと考えた。

 しかし中国語は話せない。

ああ、大学の時中国語を選択していてその時に旅で使う中国語のフレーズを習っていた。

しかし、今脳内に記憶している言葉は自分の名前と大学名を紹介するフレーズだけだった。

外国語を始めて勉強するとき、自己紹介や This is a pen.のような例文から習っているが、本当にその国で生きるため必要なことをもっと初めに習いたい。

いや、結局は自分の努力不足につきる。

 

そんなことを思いながら店の前でしばらくうろうろしていた。不審者のようだったと思う。

店員さんたちは中国語で話していたが、勇気を出してカウンターへ行き、英語でオレンジジュースを注文してみた。

メニューも指さしたのでオレンジジュースが欲しいことは伝わった。

 

さてここからである。

私の任務は氷をゲットすることだ。

オレンジジュースと氷を分けてもらうことを伝えなければならない。

 

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混乱していてあまり覚えていないが、発音も語順もめちゃくちゃな英語を話していたのだろう。

全然伝わらない。伝わらず焦り、店員さんたちも理解できず困らせてしまった。


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しかし身振り手振り知っている単語を並べて説明し、なんとか伝わった。

わたしの言いたいことを読み取ろうとしてくれた店員さんたちにも大感謝である。

 

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これまでの海外旅行では英語が上手な友人と旅行していたため、困ったことがなかった。

日本でも出国まで自分なりに勉強していたが(全然勉強量が足りていなかったけれど。)、日本の外で、自分だけで母国語以外の言葉を話すのは初めてだった。

言葉を話すだけでドキドキした。

幼少期に初めて言葉を発した時のことは覚えていないけど、もしかしたらこんな風にドキドキしていたのかもしれない。

もしかしたら両親や周りの大人たちが話していることを聞いて、真似してみようかな、どうしようかな、と少し迷って、それから勇気を出して言葉を発してみたのかもしれない。

 

初めてのミッションをクリアしたような達成感と、買い物すら一人でまともにできないでこの先大丈夫だろうかという不安が同時に押し寄せてきた。

でもなんとかなった。日本でだって初めは一人で買い物できなかったんだから。

氷入りのカップとオレンジジュースのカップを持って、SHIKAの元へと急いだ。

北京空港にて

乗り換えの北京空港に到着した。

 

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夕食時だったので、空港内の中華料理屋さんでラーメンのようなものを食べる。

ラーメンと呼んでいいのかわからないぐらいさっぱりしたラーメンとうどんの狭間のような麺料理。

日本では中華料理はこってりなイメージだが、北京の料理はあっさり系なのだろうか。

上品でとってもおいしい。いつか中国3千年の歴史が誇る食文化を旅してみたい。

 

 

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次のフライトが深夜発だったので、しばらく空港内で仮眠をとる。

北京空港はとてもきれいな空港で、時間的に人も少なく、ソファもふかふか、快適に眠ることができた。

 

私はほとんどの物事が苦手であるが、唯一できる得意なことはどこでも眠れること。

海外旅行では空港などで仮眠をとる機会が多いのでこの能力はとても役立つ。

 

学生時代、この能力は悩みの種であった。どんなにコーヒーを飲んでも、スーッとする眠気防止のタブレットを食べても、授業中に眠くならないことがなかった。

大学生の時、授業の中で交感神経と副交感神経を測定する機会があり、副交感神経のグラフがグラフの目盛りを超えるほどであった。

副交感神経は眠る前やリラックスしているときに優位になる。

わたしの測定結果を見た先生から「こんなに副交感神経が優位だったらいつも眠いでしょ」と言われた。

まとわりつく眠気とずっと戦ってきたが、この能力が戦力になる時が来るとは、何事も表裏一体である。

 

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どのくらい眠っただろうか。まだ飛行機の時間まで2時間はある。

 

 

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ふと隣を見るとすっきりしている私とは反対に、体調がすこぶる悪くなり苦しんでいるいるSHIKAの姿があった。

熱の原因

風邪薬は預け荷物の中。隣にはしんどそうなSHIKA。

 

このまま飛行機に乗っていて大丈夫だろうか。

悪化しないだろうか。

よりによってこんな日に熱だなんて。

 

そんなことを思いながら、何かできることがあるわけでもないので時間が解決してくれるのを待つ。

 

前日まではそれぞれ実家で過ごしていて体調が悪いという話も聞いていなかったので、思い当たることを聞いてみる。

 

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今回の旅では自然の中のトレイルを歩くことになり、何日も街に出られないこともあるため、念のために破傷風の予防接種をしていた。

 

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「私は予防接種をした時に『今日はお酒を飲まないで』って言われたけど・・・?」

「あ・・・そういえば言われたわ。。。忘れてた。」

 

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この発熱はきっとお酒が原因だとわかったので、しんどそうでもあまり気にならなくなった。

あんなに心配だったのに、原因がわかると人間強気になれるものだ。