北京空港から再び飛行機に乗り、ニュージーランドのオークランド空港に到着する頃にはシカの熱も無事に下がっていた。
やっと今日まで目標にしてきたニュージーランドの地を踏むことができた。
出発してから色々あったが、無事に到着してほっとした。
今回の旅は初めは5か月を予定していたので、ワーキングホリデービザを取得していた。
入国審査でなんと答えるべきか、事前にワーキングホリデーをしている人のブログを読んだり、Te Araroaを歩いていた人の情報を参考にしたり、シュミレーションはしていた。
しかし北京空港の一件があって、外国語を話すことにナーバスになっていた。
もう人前で英語を話したくないな、ましてや入国審査で英語が通じなくて入国できなかったらどうしよう・・・。
得意の先の先まで心配する性格のせいで悪い妄想ばかりが膨らむ。
ずらーっと並んでいる入国審査官と入国者とのやり取りを遠くから眺めながら、
「できるだけ優しそうな人に当たりますように。」と願っていた。
よく考えるとなんて失礼な願いだろう。
人の見かけであの人は優しそう、あの人は怖そうと判断するなど。
よく映画やドラマの中のセリフで、舞台に立つ直前の緊張している主人公に
「みんなジャガイモだと思えばいい。」と語りかけている場面がある。
なぜジャガイモ?と思っていたが、確かに玉ねぎやニンジンよりもジャガイモの方がリラックスできるかもしれない。
いよいよ、私の番だ。。。
ここだけは一人で話さなければいけない。
緊張が走る。
「ハ、ハロー」
ニュージーランドの人との初めてのコミュニケーションだった。
心配していたようなシチュエーションにはならず、無事に入国審査をクリアした!
わたしたちの"ワーキングホリデー"ならぬ"ウォーキングホリデー"の始まりにまた一歩近づいた。
次は荷物検査。
ずらーっと人が並びとても混んでいる。
蛇のように蛇行しながらどんどん列が長くなる。
やっと自分たちの番になった。
ニュージーランドは国の生態系を守るため、屋外で使用するアウトドアギアなどの検査が厳しいことは事前に知っていた。
土や植物の種がつかないように、靴もテントもきれいにしておいた。
ブーツは土がついていないのを見てOK、テントは預けるように言われた。
他にもフルーツの所持や食品のチェックがあった。
見たことのない日本のお菓子は何が原料で作られているか説明した。
もちろん会話はすべてSHIKA任せである。
もうないかな?と思ったところで「手に持っているものは何?」と言われた。
今回ニュージーランドを歩く旅をすることになり、SHIKAのお世話になっている木工職人さんが私たちのために木製のトレッキングポールを作ってくれていた。
オーク材で作られていて持ちても滑らかでとても美しい。
竹刀袋に入れて持っていた。
用途を説明すると一応杖も預けることになった。
空港ロビーに出てテントと杖が返ってくるのを待つ。
は~ここがニュージーランドか~と空港内をきょろきょろ見回しながら、
ちゃんと無事に道具たちが戻ってくるかドキドキしていた。
ガラガラと検査していた部屋のシャッターが開き、テントと杖が戻ってきた。
あーほっとした。いきなりテントなし生活になったらどうしようと思っていた心配性の想像も無意味なものに終わってよかった。
これでやっとニュージーランドでの旅が始まる!!
日本からニュージーランドに来るだけでもこんなにたくさんのドキドキがあったのだから、3000kmの道のりにはどんなことが待ち構えているのだろうか。
バスに乗りオークランド市内へ向かった。