ゆるり、のんびり

暮らすように歩き、歩くように暮らす日々の記録

TA Day12 : 身体にしみるインドカレー

Puketi Foest Hutまで来てしまえば次の町Kerikeriまであと10kmぐらいだと思っていた。

Kerikeriに着いたらまた0dayをとっておいしいものを食べてゆっくりしよう!

とすでに休むことを考えていたけど、ここからまだ25kmもあるらしい。

想定外だったけど、今日も頑張ろう。

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この日も鳥ちゃんと3人で歩く。

牧場の中を歩くルートだった。羊たちに癒される。

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途中の牧場の入り口にTAハイカーのためにオレンジを入れてくれている袋が!

まさかそんなことがあるのか。。。

久しぶりの新鮮なフルーツ!!おいしすぎる。涙

トレイルエンジェルさんありがとう。

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こんな風に、自分も何か、人の心を癒すことができたらなんて最高だろうと思った。 

今は何もできないけど、この旅が終わったらそんな風に生きていきたい。

 

天気も良くなってきて牧場歩きを楽しむ。

動物たちが雨の日も歩いているので、平らに見えて足元はぼこぼこ穴が空いている。

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昨日までは歩くのに必死で何かを考える余裕はなかったのだが、

この日は牧場と道路歩き。

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こんなに歩きやすい道でもほかの二人についていくのが必死で、

道路であっても同じペースで歩けない自分に気持ちが落ち込んでいた。

 

一体なぜ自分はここにいるのだろう。という気持ちになってきた。

日本では自分の仕事があって、役に立たないなりに自分が人のために何かをできる時間があったけど、今は自分が歩きたくて歩いているのに、それすらもうまくできない。

なぜだ。なぜここにいるんだ。という思考のスパイラルに陥った。

 

沢木耕太郎さんの本が好きで、日本いる時からよく読んでいた。

沢木さんの「旅する力」という本に沢木さんが旅をしながら考えている一節があった。

これが沢木さんの書いていた「旅人の心理」というものなのだろうか。

つまり、私も旅人になったのだろうか。

(沢木さんが言いたかったことと全然違うかもしれないけど。)

 

歩くことに集中しなくてもいい状況だと他にも色々なことを考える。

 

風に揺れている牧場の草やその草を食べる牛の姿やを眺めていると、

ある疑問がわいてきた。

 

学校の理科の時間には食物連鎖ピラミッドの頂点に人間がいると習った記憶があった。

この草は光合成をして大きくなって牛に食べられる。

この牛は草を食べてフンをして、フンが土を豊かにしたり、

人間が牛肉やミルクを頂いたりしている。

はてさて、自分はフンもしなければ、自分が他の動物に食べられることもなくて、

ピラミッドの頂点にいるというよりはピラミッドの仲間にも入れていないような、

こんなに近くにいるのに、遠いところで起きていることのような。

なぜだか少し寂しい気持ちになったのだった。

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そんな普段なら考えないことも考えながら、

自分の不甲斐なさに落ち込みながら、

どんよりとした感情が何時間も私の脳内を支配する。

 

すると、牛が怖いぐらいこちらに迫ってくる!!

柵の向こう側にいるのだが、こちらが動くと私たちの動きに合わせて追いかけてくる。

モォ~~~~!!!とすごい鳴き声だ。恐怖。

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しかもTAはこの柵を乗り越え牛たちに向かって行けと言う。

うそだろ~~~~。3人でしばらくたたずむ。

勇敢な鳥ちゃんが戦闘を切って、牛たちの方へ向かった。

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弱虫な私たちは鳥ちゃんの後に続く。

こちらが何もしなければ牛たちは避けていってくれた。

でも追いかけられそうで怖かったので、

3人ともすたこらさっさと森のくまさんのお嬢さんの気分で逃げるように坂を下る。

 

するとシカが杖を上に忘れてきたことに気づき、

また牛たちの群れへと戻る羽目になった。

私と鳥ちゃんは無事を祈りながら坂を下りきった安全な場所で見守った。

 

この恐怖体験のおかげで、さっきまで考えていたことがどうでもよくなった。

 ネガティブスパイラルのせいで忘れていたけど、

初めは牛や羊たちと同じように牧場の道を歩ける楽しい日だったのだ。

大切なことに気づかせてくれた牛さんたちありがとう。

 

牧場を抜けると素敵な小川のあるかわいい小道になった。

f:id:kamoshikahiking:20210405110150j:plainトンボがたくさん飛んでいた。英語でドラゴンフライというらしい。 

もうすぐKerikeriの町という所で休憩。

ここまで休憩なしのノンストップで来たものだからみんな少し疲れていた。

 

木陰で休み、もうひと踏ん張り。

しばらく行くと公園の遊歩道のような歩きやすい道に出て、

そこには大きく美しい滝が現れた。

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マイナスイオンが最高。

 

しばらく歩くとロードに出て、バックパッカーを目指す。

泊まる予定にしていたバックパッカーは満室だったので、

オーナーさんが近くのホリデーパークまで車で送ってくれた。

 

3人でキャビンに泊まることになった。

久しぶりの屋根!!!

ベランダからは川が見えたり、芝生が広がっていてとても居心地がよい。

テントや寝袋を干して町に出る。

町に着いたら外食をすると決めていた。

鳥ちゃんも誘ったが、自炊するようなので2人で出かけた。

 

Kerikeriの町は結構大きくて、

大きなスーパーや色々なお店が入っているレストラン街もあった。

よく見ると子どもたちはみんな裸足で大人も裸足の人が多い。

生まれてから靴を履くことが当たり前だったけど、また一つ自分の常識が無くなった。

 

レストラン街には色々なお店があったけど、満場一致でインドカレー屋さんに決めた。

私はバターチキンカレーが好きなのでバターチキン一択。

スパイスのおいしそうな匂い、久々のちゃんとした食事が待ちきれない。

 

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きたー!!!ついにきたー!!

人生で一番心のこもった「いただきます」だったかもしれない。

一口、二口食べる。

すると、身体が急に熱くなって、体内の血管に血が流れているのを感じた。

力がみなぎってきて、気がつくとおいしすぎて泣いていた。

おいしい、おいしい、とじんわり出てくる涙をぬぐいながら一口一口を味わった。

 

歩いている途中もちゃんと食事はとっていたし、

足りていない感覚はなかったけど、

6日ぶりの食事に心も体も本当に満たされた。

こうやって食事ができること、本当に感謝である。

 

元気になってカレー屋さんを後にした。

すると急に右足のふくらはぎが痛くなって歩けない。

買い物はシカに任せてケンケンで町中を歩く。

 

なんとか宿に戻りシャワーで温めると少し歩けるようになった。

部屋に戻ると鳥ちゃんが日記を書いていた。

鳥ちゃんは明日また出発するらしい。

私たちはKerikeriで1日休むことにしたので、今日でお別れだ。

 

鳥ちゃんにありがとうと言うと、ギュッとハグをしてくれた。

初めての旅の仲間だった。

3日間一緒に歩いて、一緒に食べて、一緒に眠って、

同じ時間を共有できた初めての仲間だった。

 

また会おうね、おやすみ。と言って、

6日ぶりにふかふかのベッドで眠った。

 

 DAY12 Puketi Forest Hut - Kerikeri 25km (223km/3000km) 

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