ある年の10月、いよいよ私たちはTe Araroaの旅に出発する。
この日はとても天気のいい穏やかな気候だった。
前日までニュージーランドへ旅立つ実感もわかず、
家を出る時も普段仕事に行く時と同じように「いってきまーす」と言って出かけた。
この旅のために買ったまだ背負いなれていない60Lのバックパックを背負って、見送りに来てくれる母と一緒に電車に乗った。
空港に到着するとSHIKAの家族も到着していた。
そしてなんとそれぞれの友人も遠路はるばる空港まで見送りに来てくれていた。
荷物のチェックインを済ませ、家族や友人たちとの会話を楽しむ。
みんなで記念撮影をしたり、なんだかエベレストを登りに行く人達のような待遇?でちょっと照れ臭かったけど、とても楽しかったからこのまま空港にいてもいいな~と思った。
楽しい時間はあっという間で、搭乗の時間になってしまった。
ゲートまでみんなが見送りに来てくれて、見えなくなるまで手を振り、飛行機に乗った。
ここまで来ても旅が始まる実感がまだわかなかった。
飛行機が離陸した。
ふわっと体が浮いた時、旅が始まる実感が少しだけわいた。
見送りに来てくれた家族や友人、私たちの旅を応援してくれる人たちの顔を思い浮かべながら、無事に3000km歩き切ろうと心に誓った。
わくわくしている私とは反対に、先ほどまで笑顔でみんなと話していたSHIKAの表情が少し曇っている。
なんと、いきなりの体調不良。