ゆるり、のんびり

暮らすように歩き、歩くように暮らす日々の記録

TA Day2 : 人生で一番つらい日

テントの中で目覚めた。外はもう明るい。

 

起きて朝食をとる。この日はクリーム系のスープとパン。

 

パンは数日前に買ったものだが、少しカビが生えてきてしまった。

 

これからもパンを主食にしたいと思っていたが、意外と日持ちしないみたい。

 

また何を食べるか考え直さなくては。

 

 

テントをたたみ8:30に出発。

 

この日も雲一つないいいお天気で最高のスタート。

 

今日の目的地は28km先のキャンプ場。

 

90mile beachのセクションはキャンプ場以外のところではキャンプ禁止となっているので、2日目からいきなり28kmも歩かなくてはいけない。

 

28㎞も歩いたことはないから頑張らないと。

 

歩き始めは順調順調!低木のある岩岩した道をしばらく歩く。

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海への階段を下りて海岸歩き。今日も海がきれい。

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しばらく歩くと遠くに島が見えた。

 

地図によると今日のキャンプ場の近くにある島のようだ。

 

目標となるものが見えていると同じ歩くのでも励みになる。

 

 

しかし、それから何時間歩いても島の大きさが変わらない。

 

近づいている感覚は全くなく、同じ景色がずっと続いている。

 

なぜだ。。。

 

歩けども歩けども砂と海。

 

昨日までは美しい海岸歩きを満喫できていたけど、

 

2日目にしてもう海岸歩きにうんざりしてしまった。

 

海の美しさは変わらない。

 

体の疲労と荷物の重さ、目的地に近づいている感覚がないことに心が疲れてしまっていた。

 

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そんな究極の状況で荷物の重さを軽くする技を編みだした。

 

その名も15秒休憩。

 

額に杖を当て前かがみになり、背負っているザックをできるだけ頭上に持ってきて杖に重みを預けて休憩する。

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これがなかなか効く。

 

荷物が重く体が後ろに傾き始めたときに15秒休憩をすると足の疲労が軽減する気がした。

 

10秒だと休憩にはならず、20秒だと長すぎて前に進まないので15秒が一番いい。

 

これから先も15秒休憩にはお世話になることになる。

 

 

体の辛さと精神的な辛さに2人とも無口になる。

 

ああ、余計に辛い。2人で歩いているのに1人で歩いているみたいだ。

 

これからまだ2900㎞以上もあるのに毎日こんな無言の日々だったらどうしよう。

 

気分を上げるために1人ミュージカルごっこもしてみた。

 

足は上がらなかったが、気分は少し上向きになった。

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この日は初めての長時間歩き。トイレに行きたくなってきた。

 

日本の山ではお昼時や休憩時に山小屋がちょうどいい感覚であることが多かったので、

 

トイレは山小屋で済ますことができていた。

 

しかし、90mile beach には店などはなにもない。

 

右には海、左には砂浜が広がっていて隠れられる場所もあまりなかった。

 

しばらく我慢。そろそろ限界だと思っていたところ、隠れられる砂でできたくぼみを発見!

 

いよいよ人生でほぼ初めての青空トイレ。

ドキドキ。。。。

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目の前に広がる青い海と青い空。音姫ではない、自然の波の音が聞こえる。

 

これはいいわあ~~~~

 

すばらしい解放感だった。普通のトイレより相当良かった。

 

それからも15秒休憩を繰り返しながら歩く。

 

時間も遅くなってきて体の疲労もピークに。

 

座って休憩してしまうと立ち上がれなくなるため、少し進んでは15秒休憩を繰り返す。

 

立ち止まってはいけない。一歩でも前に進まなければ。

 

 

体の悲鳴というものを初めて聞いた。足も震えて言うことを聞かない。

 

背中の荷物はどんどん重くなってくる。

 

とにかく前に進むことで必死だった。記憶があまりない。

 

 

どうにかこうにか目標としていた島の前まで来た。

 

しかしキャンプ場が見当たらない。

 

サインもないので探しに行きたいが、もう私の体は動かない。

 

 

SHIKAも疲れていただろうにキャンプ場を探しに行ってくれた。

 

感謝しかない。

 

へたへたとその場に座り込む。もう自分の体じゃないみたい。

 

しばらくしてSHIKAが戻ってきた。キャンプ場があったみたい。

 

よかった~~~~~(泣きそう)

 

最後の力を振り絞ってキャンプ場へ。

 

やっと着いた。。。終わった。。。

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荷物をおろしてテントを張ろうとしたが、体の動きがロボットみたいになっている。

 

相当限界だったみたいだ。まっすぐ歩くこともできないような状態だった。

 

 

キャンプ場は広くて、簡単なトイレと水道があった。

 

夕食は日本から持ってきたどんべえのきつねうどんにお餅を入れて力うどんにした。

 

故郷の味よ!!ありがとう。

 

温かい食事と懐かしい味にほっとしてとても癒された。

 

日記を書く余裕など全くなく、すぐに寝袋に入った。

 

 

体が疲れすぎていて気持ち悪くなりなかなか寝付けなかった。

 

テントで寝ることにもあまり慣れていなかったからかもしれない。

 

寝ていても体中が痛かった。

 

肉体的にも精神的にもこんなにつらいことはこの先なかなか無いだろう。

 

明日はどうなるのだろうと不安を抱えながら人生で一番つらい日が終わった。

 

DAY2 Twilight Beach Campsite - Bluff 28km ( 40km / 3000km )

 

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