ゆるり、のんびり

暮らすように歩き、歩くように暮らす日々の記録

TA Day6 : ヒッチハイクデビューとミニマリストまでの道のり

朝起きると驚いた。

なんと、昨夜聞いた電子音の正体は鳥だったのだ!!!

黒い毛並みに緑の羽、のどの下に白くふわふわした羽毛がある素敵な鳥だった。

 

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名前がわからないので、「電子音ちゃん」と呼ぶことにした。

 

この日は0day(全く歩かずに休む日)を取ることにしていた。

ニュージーランドに来る前に読んでいたTAハイカーさんのブログでは

90マイルビーチを歩き終わってKaitaiaで0dayを取っていたので、

私たちもまたKaitaiaへ戻ることにした。

Ahiparaには大きなスーパーはなかったので、食料も調達したかった。

 

ホリデーパークを出ようとするとTuatuaカップルと再会した!

昨日はお疲れー!とお互いを称えあった。

2人はまた今日から次のセクションを歩き始めるらしい。

なんてタフなんだ!!

またトレイル上で会えたらいいね!と連絡先を交換してそれぞれの道を進んだ。

同じ道を歩いていてもちょっとタイミングが合わなければ会うことはできないし、

この2日間2人と同じタイミングで歩くことができてとても嬉しかった。

本当にまたどこかで会えたらいいな。

 

さて、Ahipara一番の大通りまで行き、人生初のヒッチハイクに挑む。

AhiparaからKaitaiaまでは14㎞。

TAのルート上はすべて歩くと決めていたが、

ルート上以外ではヒッチハイクありというルールにした。

日本でもヒッチハイクなんてしたことなかったし、Kaitaiaにたどり着けなかったらどうしよう。

どきどきしながら車が来るのを待った。

来た!!1台目の車だ!!

ドキドキしながら親指を立てて腕を上げる。

 

 

 

キキーッ!「どこまで行くの?」

 

 

 

まさかの、1台目で止まってくれた。

そんなことあるのかー!!!

 

ちょっとドキドキしながらも車に乗せてもらった。

2人はオーストラリアのパースからニュージーランドに来ているそうで、

2日後に国へ帰る予定だという。

とても気さくで優しい2人と楽しく会話をしながらKaitaiaまで乗せてもらった。

本当にありがとう。

 

Kaitaiaでは出発前に宿泊した宿に再び泊まることにした。

受付のお姉さんが笑顔で迎えてくれて、家に帰ってきたような気持になった。

ブリスターもたくさんできたよ~」と4日間の報告。

足の裏にできたたくさんのブリスターたちも頑張って歩いた勲章だと思うと憎めない。

結構痛いけど。

 

宿の横にあるケンタッキーでもりもり昼食を食べ、夜は肉を買ってポークソテーを食べた。

ああ、生き返る。

 

翌日も0dayを取ることにした。

この日は日本に荷物を送り返すため、不要なものを選ぶことにした。

ザックの中身をすべて出し、必要なものと不要なものに分けていく。

<不要だったもの>

・瓶に入っている整腸剤やお守り的ないつ使うかわからない薬類

 →必要になればニュージーランドで買える

・タオル数枚

 →そもそもシャワーを浴びることもないので手ぬぐい2枚で十分

・謎に何個も持っていたメモ帳

 →全く使わない

・顕微鏡機能付きのキーホルダー(←なぜ持ってきたのだ)

・水着 多分泳ぐことはないし、下着の上にTシャツ切ればいい

コンタクトレンズ 手が洗えないし、ごみも入るから眼鏡一択

 

他にも今かけている眼鏡の空ケースだったり、

あればいつか使うかもしれないものだが、

自分が生きていくために絶対必要なものではないものを振り分けた。

 

郵便局で重さを量ってもらうと1.5㎏もあった。

これを背負っていたなんて・・・。

 

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送り返した荷物。サンタ並み。。。

 

不要なものを送ってすっきりした。

翌日からは6日間歩く予定なので今回も予備2日分を加え、8日分の食料を準備した。

荷物が減ってパッキングも楽だ。

明日からはトレイルに戻り、次は森のセクション。

海とは全然違うだろうから楽しみだ。

 

DAY5.6 Ahipara- Ahipara(main street) 2km/ 0day in Kaitaia (103km/3000km) 

 

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TA Day5 : 英語の壁ーチャプチャプ事件

Ahiparaではトレイルノートに書いてあったホリデーパークを目指す。

道が分からなかったので出会ったお兄さんが話しかけてくれて連れて行ってくれた。

私たちの足は疲れ切っていてお兄さんと同じペースで歩くことができなかったが、

途中何度も振り返ってくれて私たちが追い付くのを待ってくれた。

ああ、なんて優しい人が多いんだ。ニュージーランド

 

ホリデーパークに着くとここもまた素晴らしい!!!

ニュージーランドにはホリデーパークという名のキャンプ場があって、

コテージ、テント用のキャンプサイト、キャンパーバン用のサイトなど

とても充実している。ホリパーは大体どの町にもある。

Ahiparaのホリデーパークもとてもきれいで、

サーファーやキャンパーの人たちでにぎわっていた。

 

ソファーや大きなテレビがあってスタッフもいい人で、

シャワーやトイレもとってもきれい!

素敵な木の下にテントを張り、シャワーを浴びる。おお~最高だ。

 

ソファーのある部屋に行きポテチとコーラを買って乾杯!!

しゅわしゅわ!!パリパリ!!最高!!!

テレビでラグビーの試合をやっていたので見ていると、

おじさんがワインとチーズを片手に私たちの隣にやってきた。

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おじさんはクライストチャーチ出身だそうで、

ちょうどクライストチャーチの試合をやっていたので熱くなっていた。

ニュージーランドっぽい!!

ラグビーのルールはあまり知らなかったけど、おじさんと楽しく観戦した。

 

途中でおじさんが話しかけてきた。

 

「このチャプチャプがな!なんとかかんとか、チャプチャプが・・・」

 

 

チャプチャプって何???!!!

 

 

そのあともおじさんのチャプチャプ話は延々と続いた。

私より英語ができるSHIKAもわからない。

チャプチャプってなんだ、おじさんの言っている意味をくみ取りたくても

チャプチャプのせいですべてが分からない・・・。

意味を聞いても聞き取れない・・・。

だめだ、もしかしたら知らない単語なのかもしれない・・・。

 

あきらめかけたその時、テレビ画面が切り替わった。

 

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「チャンピオンシップ」が「チャプチャプ」に聞こえていたようだ。

これがKIWI Englishなのか。

難しすぎるぞ。

何はともあれようやく分かり合えて、おじさんもほっとした様子。

 

こんなに英語が分からないのに話をしてくれてとても優しいおじさんだった。

おじさんは定年になり、今はキャンパーバンでホリデーパークを転々としながらニュージーランドを旅しているらしい。

年を重ねたらそんな旅も素敵だな~!

 

 

テントに戻りうとうとしていると、外で電子音が聞こえた。

「ピーッ ポロロ バフッ ツー」

昔電話回線でインターネットをつないでいた時にパソコンから聞こえた音に似ていた。

ホリデーパークのインターネットや電話の回線の音だろうか。

電子音を聞きながら、久々の人里で安心して眠りについた。

 

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TA Day4 : 初めて着く町

いよいよ100kmの海岸歩きも最終日。

この日は爽やかに5時半に目覚めた。

まだ他のみんなは寝ているようだ。

 

素敵なキッチンで優雅に朝食を作る。

だんだんとみんな起きてきてドイツからのTAハイカーたちと話した。

2人もワーホリで来ているらしい。

しばらくするとTuatuaハイカーの2人も起きてきた。

同い年ぐらいでオーストリアから来ているらしい。今朝も爽やかな2人だった。

 

これまで2泊キャンプ場で朝を迎えてきたが、

こうしてTAハイカーのみんなと話すのは初めてだった。

みんな同じ目的でニュージーランドという国に来て、

同じゴールを目指しているというだけで

こんなにすぐに仲良くなれるものなんだなぁ。

仲間ができたようで嬉しくなった。

 

キャンプ場からは私たちが一番に出発。

この日は甲子園ごっこなどをしながらのんびり歩いていると、

オーストリアのTuatuaハイカーの2人が颯爽と私たちを追い越していった。

爽やか~~~~!!!

2人は荷物も軽そうで歩くのも速い。

 

それにしても連日何もない海岸を歩き続けているのだが、

こんなに何もないことが逆にすごいことだと感じるようになった。

ゴミ1つ落ちていない。あるのは海藻と流木とフグだけだった。

日本にこんなにきれいな海があればきっと海の家があったり、

お店があったりするんだろうけど、

何もない形で残しているニュージーランドの人たちはすごい。

 

だんだん町に近づいてくると車の数も増えてきた。

ビーチを車が走っている。初めは不思議な光景だった。

すれ違う車が「プー!」とクラクションを鳴らした。

何か怒られてる?!と思ったら、

運転手のおじさんが笑顔で手を挙げて挨拶してくれたのだった。

私たちを応援してくれているのか・・・!!涙

それからもすれ違う車はみんな手を振ってくれたり、

ラクションを鳴らして挨拶をしてくれた。

すれ違いざまの、一瞬ではあるけれど、ニュージーランドの人たちとの

コミュニケーションがとても嬉しかった。疲れた体にも元気が出た。

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この日は土曜日だったのもあってたくさんの人が海で遊んでいた。

ワンちゃんと海で遊んでいる人やTuatuaを拾っている人。

みんなそれぞれの休日を過ごしていて素敵な風景だった。

 

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この日は風がとても強くて半袖では寒いぐらいの天気だった。

向かい風のため眼鏡は砂でコーティングされ、

本当の色が分からなくなってしまうほどだったけど、

眼鏡を拭くと傷がついてしまいそうだったのでそのまま歩いた。

 

初めて着く町Ahipara(アヒパラ)までもう少し。

この日も最後は辛かったけど、

この美しい海を見ながら歩くのも今日が最後かと思うと少し寂しくなった。

最後に海のきれいな色を目に焼き付けたくて眼鏡を外した。

残念ながらあまりよく見えなかった。

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ついにAhiparaに到着した。

海にはサーファーの人たちがたくさんいた。海岸から町の方に歩いていく。

久々にアスファルトの上を歩く。アスファルトってこんなに固かったっけ。 

 

無事に最初の100kmを歩き終えることができて、

嬉しさと安心した気持ちと空腹感が一気に押し寄せてきた。

28km歩いてもうだめだと思っていた2日目。

4日目には30km歩くのも普通のことになっていた。

この4日間で少しは成長したのだろうか。

慣れないアスファルトの上で変な歩き方になりながらこの日のキャンプ場を目指した。

 

DAY4 Utea Park - Ahipara 31km (101km/3000km)

 

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TA Day3 : 海歩きのコツ

3日目の朝、7:00に起床。

昨晩なかなか眠れなかったので疲れが取れなかったけど、

おいしいパンとチーズとスープとキウイを食べておなかいっぱい。

元気が出た!食べることは生きることだ!

 

この日は昨日よりプラス2kmの30kmを歩く予定。

今日もまた人生で一番つらい日になるのでは?!とドキドキしながら出発した。

 

昨日までは「目的地を目指して歩く」ことを意識してしまっていたが、

今日は最初から2人でしゃべりながら歩いた。

海歩きが楽しい・・・昨日と全然違う!

 

2日目に1日フルで歩いてどのくらいの飲み水が必要かもわかったので、

1Lの水を減らしたのも大きな変化だった。

荷物が1㎏軽くなるだけでこんなにも違うのか。

ザックの重さが疲れを引き起こしているので、町に出たら不要なものは日本へ送ることにした。

 

その後も90マイルビーチが終わってから何を食べたいかを話し合ったり、

 

わたしは何でしょうゲームをしたり

(Yes Noで答えられる質問をして想像しているものを当てるゲーム)、

 

「何を作っているでしょうゲーム」を考案した。

 (自分が食べたいものを想像しながら、その料理を作っているジェスチャーをして何を作っているかを当てるゲーム)

 

これが大変面白いし盛り上がる!!変化のない海岸歩きにはかなりおすすめ。

 

ジェスチャーをしているだけなのに、目の前にお好み焼きがあって、

 

その匂いまで漂ってくるような錯覚(幻覚?)になり空腹と心が満たされる(気がする)という素晴らしいゲームを楽しんだ。

 

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ああ、私たち食べることばかり考えている。

 

昨日今日と朝食・夕食はしっかり食べているが、

昼ご飯はナッツやクッキーなどのお菓子類。

行動食と同じものを何度も食べる。

 

体が疲れているときにお菓子系ばかりだと全然力が湧いてこない。

カロリー的には必要な分取れていたとしても、満足感や幸せな気持ちにはなれず、

この食事をこれから何か月も続けるの・・・と思うと辛く、

ナッツやクッキーを食べると気持ち悪くなることもあった。

自分にとって食べることがどのくらい重要かということに気づく。

 

日本から持ってきたお菓子を食べてテンションを上げてまた歩く。

お腹は空いているけど、今日は気持ちに余裕があるので、

すごく空がきれいに見えたり、海のキラキラを楽しめた!

 

歩いていると海岸にたくさんのフグが打ち上げられていた。

春になると死んでしまうのだろうか。

 

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この日も後半はしんどかったが、15秒休憩をしたり、

海の歩き方が少しわかってきたので、疲労困憊にはならなかった。

 

30kmを歩き終え、宿泊先のUtea Parkに到着。

芝生のきれいなキャンプサイトとかわいいコテージがある。

オーナーさんがまだいなかったので、荷物を降ろして裸足になり芝生の感触を楽しむ。

 

芝生でゴロゴロしているとオーナーさんが帰ってきて、

ポテトチップスがあると聞いて迷いなく購入した。

 

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おいしい!!涙 幸せだ!!!

さらに冷たいお水までいただいた。なんて優しいオーナーさん。涙

水を飲んでこんなにもおいしく感じたのは人生で初めてかもしれない。

 

 

 

Utea Parkにはキッチンと水シャワーもあり、2日ぶりにシャワーを浴びた。

髪も皮膚も潮風でべたべた、砂まみれになっていたので、リフレッシュして最高な気分。

 

夕食を作ろうとキッチンへ行くとTAハイカーのカップルが海岸で取ったtuatua(トゥアトゥア)という貝を分けてくれた。

歩き終わってから貝を拾いに行くなんてなんて余裕があるんだろう!

 

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とてもフレンドリーな2人としゃべりながら、tuatuaを使ってパスタを作った。

新鮮なシーフードのおかげで体もすごく元気になり、

暗くなってからも日記を書く余裕があった。

 

テントの窓から顔を出すと、空には降ってきそうなぐらいの星が輝いている。

最高すぎて言葉にならない。

こんな星空を見てしまうと今日1日の疲れなんて吹っ飛んでしまう。

昨日の人生で一番つらかったこともすっかり忘れてしまった。

 

今日のおいしい夕食や

優しいオーナーさんご夫婦とTAハイカカップルとの出会い、

きれいな星空の素敵な思い出に脳みその中は上書きされて

幸せな気持ちで眠りについた。

 

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Utea Park 日の入り時

 

DAY3 Bluff - Utea Park 30km(70km/3000km)

 

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TA Day2 : 人生で一番つらい日

テントの中で目覚めた。外はもう明るい。

 

起きて朝食をとる。この日はクリーム系のスープとパン。

 

パンは数日前に買ったものだが、少しカビが生えてきてしまった。

 

これからもパンを主食にしたいと思っていたが、意外と日持ちしないみたい。

 

また何を食べるか考え直さなくては。

 

 

テントをたたみ8:30に出発。

 

この日も雲一つないいいお天気で最高のスタート。

 

今日の目的地は28km先のキャンプ場。

 

90mile beachのセクションはキャンプ場以外のところではキャンプ禁止となっているので、2日目からいきなり28kmも歩かなくてはいけない。

 

28㎞も歩いたことはないから頑張らないと。

 

歩き始めは順調順調!低木のある岩岩した道をしばらく歩く。

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海への階段を下りて海岸歩き。今日も海がきれい。

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しばらく歩くと遠くに島が見えた。

 

地図によると今日のキャンプ場の近くにある島のようだ。

 

目標となるものが見えていると同じ歩くのでも励みになる。

 

 

しかし、それから何時間歩いても島の大きさが変わらない。

 

近づいている感覚は全くなく、同じ景色がずっと続いている。

 

なぜだ。。。

 

歩けども歩けども砂と海。

 

昨日までは美しい海岸歩きを満喫できていたけど、

 

2日目にしてもう海岸歩きにうんざりしてしまった。

 

海の美しさは変わらない。

 

体の疲労と荷物の重さ、目的地に近づいている感覚がないことに心が疲れてしまっていた。

 

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そんな究極の状況で荷物の重さを軽くする技を編みだした。

 

その名も15秒休憩。

 

額に杖を当て前かがみになり、背負っているザックをできるだけ頭上に持ってきて杖に重みを預けて休憩する。

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これがなかなか効く。

 

荷物が重く体が後ろに傾き始めたときに15秒休憩をすると足の疲労が軽減する気がした。

 

10秒だと休憩にはならず、20秒だと長すぎて前に進まないので15秒が一番いい。

 

これから先も15秒休憩にはお世話になることになる。

 

 

体の辛さと精神的な辛さに2人とも無口になる。

 

ああ、余計に辛い。2人で歩いているのに1人で歩いているみたいだ。

 

これからまだ2900㎞以上もあるのに毎日こんな無言の日々だったらどうしよう。

 

気分を上げるために1人ミュージカルごっこもしてみた。

 

足は上がらなかったが、気分は少し上向きになった。

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この日は初めての長時間歩き。トイレに行きたくなってきた。

 

日本の山ではお昼時や休憩時に山小屋がちょうどいい感覚であることが多かったので、

 

トイレは山小屋で済ますことができていた。

 

しかし、90mile beach には店などはなにもない。

 

右には海、左には砂浜が広がっていて隠れられる場所もあまりなかった。

 

しばらく我慢。そろそろ限界だと思っていたところ、隠れられる砂でできたくぼみを発見!

 

いよいよ人生でほぼ初めての青空トイレ。

ドキドキ。。。。

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目の前に広がる青い海と青い空。音姫ではない、自然の波の音が聞こえる。

 

これはいいわあ~~~~

 

すばらしい解放感だった。普通のトイレより相当良かった。

 

それからも15秒休憩を繰り返しながら歩く。

 

時間も遅くなってきて体の疲労もピークに。

 

座って休憩してしまうと立ち上がれなくなるため、少し進んでは15秒休憩を繰り返す。

 

立ち止まってはいけない。一歩でも前に進まなければ。

 

 

体の悲鳴というものを初めて聞いた。足も震えて言うことを聞かない。

 

背中の荷物はどんどん重くなってくる。

 

とにかく前に進むことで必死だった。記憶があまりない。

 

 

どうにかこうにか目標としていた島の前まで来た。

 

しかしキャンプ場が見当たらない。

 

サインもないので探しに行きたいが、もう私の体は動かない。

 

 

SHIKAも疲れていただろうにキャンプ場を探しに行ってくれた。

 

感謝しかない。

 

へたへたとその場に座り込む。もう自分の体じゃないみたい。

 

しばらくしてSHIKAが戻ってきた。キャンプ場があったみたい。

 

よかった~~~~~(泣きそう)

 

最後の力を振り絞ってキャンプ場へ。

 

やっと着いた。。。終わった。。。

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荷物をおろしてテントを張ろうとしたが、体の動きがロボットみたいになっている。

 

相当限界だったみたいだ。まっすぐ歩くこともできないような状態だった。

 

 

キャンプ場は広くて、簡単なトイレと水道があった。

 

夕食は日本から持ってきたどんべえのきつねうどんにお餅を入れて力うどんにした。

 

故郷の味よ!!ありがとう。

 

温かい食事と懐かしい味にほっとしてとても癒された。

 

日記を書く余裕など全くなく、すぐに寝袋に入った。

 

 

体が疲れすぎていて気持ち悪くなりなかなか寝付けなかった。

 

テントで寝ることにもあまり慣れていなかったからかもしれない。

 

寝ていても体中が痛かった。

 

肉体的にも精神的にもこんなにつらいことはこの先なかなか無いだろう。

 

明日はどうなるのだろうと不安を抱えながら人生で一番つらい日が終わった。

 

DAY2 Twilight Beach Campsite - Bluff 28km ( 40km / 3000km )

 

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TA Day1 : Te Araroa いよいよスタート!

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いよいよTe Araroaの旅が始まった。灯台からの景色を楽しみ、写真を撮った。

各国の都市と距離と方角を示す看板があり、「Bluff(ブラフ)」という文字が南の方角を指している。

 

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ニュージーランドの最南端、Te Araroaのゴール地点。

今日から数か月、Bluffという目的地だけを目指して歩くことになる。

ここから3000km先のBluffとはどんな所なんだろう。今はまだ想像もつかない。

 

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最初のセクションは90mile beach(ナインティマイルビーチ)。

Ahipara(アヒパラ)という町を目指し4日間で100.5kmを歩く。

一歩一歩足を踏み出し、背中に荷物の重さを感じる。

重い。でも楽しい!

ついに、やっと旅が始まった!

わくわくが止まらない。

 

初めは山の稜線のようなところを歩いた。目下に美しい海が広がっている。

海岸に下りて海岸を歩き、火星のような岩の上や、また海岸を歩き、川を渡る。

 

コンクリートで固められていない河口を人生で初めて見た気がする。

なめらかで、海と川の境界なんてないみたい。

 

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靴を脱いでくるぶし位の水位の川を渡った。

冷たーい!と叫びながら川を渡って、砂がついた足をはらって靴を履く。

なんてことない、ただ歩いているだけなのに、海岸を靴で歩くのも、

川を渡るのも、見える景色も何もかもが新しくて、それだけで楽しかった。

 

この日の目的地はTwilight Beach Campsite 、

スタート地点から12kmの地点のキャンプ場を目指す。

歩き始めがお昼過ぎだったので、日が傾いて夕日がきれいだ。

そろそろキャンプ場があるはずだ、と思いきょろきょろしていると、

少し小高い山の入り口にオレンジ色の三角マークがあった。

このマークがTAのルートの目印になっている。

 

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到着した!1日目が無事に終わった!

まだ体力も残っていたので、元気に階段を上っていく。

 

 

キャンプ場にはテントが5張ほど。私たちも初めてテントを張る。

今回の旅用にSnow Peakのテントを新調した。

まだ慣れていないテントを張るのに時間がかかった。

今日からこのテントが我が家になる。

きれいな芝のキャンプ場で東屋もあったり、とても充実している。

 

 

 

この日の夕飯はベンおじさんのごはんとコーヒー。

ベンおじさんはNZのスーパーで購入した。

 

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コッヘルに入れようとしたら、まさかの地面にばらまく事件。

ああー!!今日の夕飯が!!!

急いでかき集め軽く洗って、気を取り直して調理再開。

ケチャップ風味のベンおじさんライスはおいしかったけど、

1人1袋でも量は足りなかった。

 

すっかり辺りは暗くなり、空を見上げると満点の星空が。

歯磨きをしながら空を眺めていると、見たこともない大きな流れ星が北の空に流れた。

初日から感動しすぎて心が足りない。

 

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寝る準備をしてテントに入る。

初めてのNZでのキャンプだ~。ほどよい疲労感と共に寝袋に入る。

うとうとしていると、ガサガサ、サクサクという足音と

ピーピーという鳥のような鳴き声が!

 

何だ?!と飛び起きてテントのドアを開けてみる。何もいない。

テントに戻るとガサガサ動き始める。

こちらが動くと、外の生き物は動くのをやめる。

またこちらが動かなくなると歩き始める。これを何度も繰り返す。

 

もしかして、、、これはKiwiではないか??!!

野生のKiwiはなかなか見ることができないと聞いていたが、

まさか初日から出会ってしまったか!?

赤色のヘッドライトを点灯させ、見えない生物の観察を始めた。

テントを網戸にして赤いライトで照らしながら探してみるが、見つからない。

1時間ぐらい足音に耳を傾け、暗闇に目を凝らしなんとかKiwiを見たいと思ったが、

結局姿を見ることはできなかった。

 

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もしかしたらKiwiかもしれないという期待と一緒に眠りについた。

初日からたくさんの出来事があり、たくさん感動した1日だった。

TAの初日が無事に終わった。

 

 

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稜線歩き

 

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海岸歩き

 

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火星のようなところ歩き

 

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キャンプ場からの夕日

 

 DAY1 Cape Reinga - Twilight Beach Campsite 12km (12km/3000km)

 

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トレイルヘッドへ!

長いバス旅も終わりKaitaiaに到着した。宿の前には「Te Araroa Trail Starts Here」と書いてある大きな看板があり、いよいよ始まるのだな、と実感がわいた。

 

 

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ニュージーランドに来てから出発を延ばし延ばしにしてきたので、何度も始まる実感を感じることができている!

 

 

天気予報を見ると翌日は天気が悪そうなので、Kaitaiaで2泊することにした。ここまで延期してきたのだから1日ぐらいの追加の延期はどうってことない。せっかくなら天気のいい日にスタートしたい。

 

チェックインを済ませ、明後日TAに出発することを伝えると、Cape Reingaまでの行き方を教えてくれた。

TAハイカーを乗せていってくれる人がいるみたいだが、その日はあいにくそちら方面にはいかないそうで、ヒッチハイクを勧められた。

しかし、最初なので確実に着ける方がいいと考え、KaitaiaからCape Reinga行きのツアーバスに片道だけ乗ることにした。

 

宿のお姉さんに「ブリスターに気を付けて」と言われた。

 

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ブリスターとは何だろう?

聞いてみるとパソコンで検索して写真を見せてくれた。

どうやら水膨れのことらしい。

これまで靴擦れをしたことはあまりなく、今回の旅用に買ったシューズは調子が良かったので、大丈夫だろうと軽く考えていた。

ブリスターの恐ろしさをこの時はまだ知らない。

 

とてもアットホームでかわいらしい宿だった。少し休憩し、食材を買いに行く。近くの八百屋さんでいいお肉をゲットした!出発前日のディナーは盛大に!楽しみだ。

 

隣にある大きなスーパーで行動食も買った。ミューズリー、大きなクッキーが20枚くらい入ったお得パック、ナッツなど。いよいよ準備も整った。

最初のセクション90mile beach(90マイルビーチ)は4日間で歩く予定なので、2日プラスして6日分の食料を買った。日本から持ってきていた食料もあったので、今回買ったものは少なめ。

 

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宿に戻り昼寝をして夕食を食べ、卓球をしたり、外で涼んで出発前々日を過ごす。

 

翌朝起きると土砂降りの雨とすごい風!!今日出発しなくてよかった~と思いながら二度寝する。オークランドでは毎日宿を転々としていたので、朝は毎日早起きでゆっくり寝るのは久しぶりだ。

 

午後になると雨も止み、散歩がてら買い物へ行く。メイン通りとは別の道を歩いているとかわいいお花や大きな木があって、多分野生で人が植えたわけではないとは思うが絵本に出てきそうなきれいな景色だ。

のほほんと歩いていると後ろからサイレンが聞こえ、二人乗りのバイクが横を走り抜けていく。その後ろを追うポリス。え、映画みたいだ~。

2人乗りのバイクから何かがバラバラとこぼれ落ちた。

ポリスたちはそのまま走り去っていき、こぼれたところに近づくとハンバーガー、ポテト、アップルパイなど。

 

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も、もったいない。最近満腹になることがないから落ちているものでも食べたいぐらいだった。

無意識に食べるのを我慢しているのだろうか。

この日の夜はお肉を焼いて満腹になった。

 

 

いよいよ出発の朝。

8時50分のツアーバスに乗る。

Cape Reingaまでのツアーバスにはオーストラリアから来ているという女の子や素敵なご家族、ナイスなおじさんが参加していた。いい人たちとのCape Reingaまでの旅が始まった!

バスの中からは色々な風景が見れて観光気分。とてもこれから3000kmの旅が始まるなんて思えない。

ドライバーのおじさんもいい人で楽しい時間だったけど、英語が全く分からなかった。せっかくの歴史の話は理解できないまま、でもみんなが楽しそうにしている姿を見て楽しくなった。

休憩所でアイスクリームを食べている老若男女の顔がキュートだったり、アボカドの無人販売のところで止まってくれて買う人がいたり、おもしろいバスツアーだった。

 

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自分まで観光気分になっていた私とは反対に、SHIKAは旅の出発地が近づいていることに緊張していた。

 

お昼付きのツアーだったので、景色のいいところでドライバーさんがバスケットからパンやジャムやおかしやドライフルーツを出してくれて、飲み物もあり、セルフサービスでみんなで食べる。

全部サービスされるわけじゃないからみんなで遠足に来ているみたいで楽しかった。

オーストラリアの子と一緒にお昼を食べる。

カモメがたくさんいるきれいなビーチだった。みんな楽しくて幸せそう。

 

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そしてついにCape Reingaに到着した。運転手さんがみんなに戻ってくる時間を伝える。

バスを降り、ドライバーさんに挨拶をしてTAのトレイルヘッドであるCape Reingaに向かって歩く。

みんなはバスでまたKaitaiaへ戻るのだ。

でも私たちはここで降りて、これからは自分の足で歩くのだ。

そう思うと、初めて少しの不安を感じた。

 

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灯台のある先端が見えた。なんて美しいのだろう。

真っ青な海と空に緑の大地、そこに白い灯台が凛とたたずんでいる。

 

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先ほどま感じていた不安など一瞬で吹っ飛び、目の前に広がる美しい場所から旅を始められる感動と興奮が入り混じって、今までに味わったことのない感情だった。

 

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バスで一緒だったみんなが折り返してきた。灯台からの景色もきれいだったよと教えてくれる。

今日はありがとうと挨拶をして、一緒にランチをした子と記念写真を撮った。

頑張ってね!とハグをしてくれた。

みんなとは反対に私たちは灯台を目指して歩いて行った。

 

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